2020年4月28日火曜日

京都山科西野山の急峻な地の山腹に産土神の「山科神社」は鎮座しています

「山科神社(やましなじんじゃ)」は、京都東山連峰の南端部の東側山腹の急峻な地に鎮座しています。この地の豪族の宮道氏(みやじし)」の祖神として、また「山科一之宮(やましないちのみや)」とも呼ばれ、この地の産土神として人々の崇敬を受けて栄えてきました。



山科神社(やましなじんじゃ)御由緒 

名 称
山科神社(やましなじんじゃ)

御祭神 
日本武尊(やまとたけるのみこと・熊襲征伐、東国征伐を行った)
稚武王(わかたけのみこ・日本武尊の子)

創 建
寛平9年(897年)

境内社
・寿社
・山王社
・稲荷社
・竈神社 
・春日社
・天満宮社
・弁財天社
・護国社
・権殿

例大祭
10月第三日曜日 山科祭

ご利益
国土平穏・五穀豊穣・商売繁盛・開運招福・出世

所在地
京都市山科区西野山岩ヶ谷町1

社伝によると、「山科神社(やましなじんじゃ)」は平安時代前期の寛平9年(897年)、第59代「宇多天皇(うたてんのう)」の勅命により創建され、この地の豪族「宮道氏(みやじし)」の祖神である「日本武尊(やまとたけるのみこと)」「稚武王(わかたけのみこ)」を御祭神として祀られています。「山科神社」創建の際に北隣の「岩屋寺(いわやじ)」を神宮寺として創建したとも伝えられています。

「山科神社」は、京都東山連峰の南端部の東側山腹の急峻な地に造営されています。表参道は急な坂道で、最近手摺が設けられています。足元に自信がない方は、手摺につかまるか、迂回ルートの緩やかな坂道を利用される方がよいでしょう。

急勾配の表参道
以後、この地の豪族「宮道氏(みやじし)」の祖神として、またこの地の産土神として人々の崇敬を受けて栄えてきました。

急な参道を上ると、拝殿が現れます。

拝殿
「宮道氏」は、日本の氏族の一つで、発祥地は三河国宝飯郡宮道郷で、日本武尊の軍事王族の「宮道氏」だと云われています。

平安時代初期の豪族「宮道弥益(みやじのいやます)」は、「宮道氏」の末裔で、山城国宇治郡(現在の京都市山科区)の大領(律令制の職位で軍司の最高位)でした。

「宮道弥益」の娘「宮道列子(みやじのれっし・たまこ)」は、「藤原北家(ふじわらほっけ)」の流れを汲む内大臣「藤原高藤(ふじわらたかふじ)」に嫁ぎ、生まれた子が第59代宇多天皇女御(にょうご・高位の女官で天皇の寝所に侍した)となり、第60代醍醐天皇の生母となった「藤原胤子(ふじわらのいんし・たねこ)」です。母の「藤原胤子」の死後「醍醐天皇」は弔いのため「宮道弥益」邸跡を寺にしたのが、京都市山科区勧修寺仁王堂町の「勧修寺(かじゅうじ)」です。

「藤原高藤」と「宮道列子」の恋物語は「今昔物語」にも残されており、この「宮道列子」の話が後に「玉の輿」の語源となったそうです。

本殿への石段

本殿

本殿

狛犬

盛時には、社領を丹波、山城に保有し、社殿の規模も今とはスケールが違うほど大きかったのですが、応仁の乱や、織田信長の比叡山延暦寺焼き討ちなど度重なる兵火のため焼失し、現在は「三間社流造(さんげんしゃながれづくり)の本殿」および「権殿」「拝殿」「神庫」などが残っています。

なお、本殿と本殿前の石灯篭1対は、江戸時代前期の造営で、京都市の有形文化財に指定されています。


境内社他

護国社

護国社
権殿

権殿
寿社・山王社・稲荷社・竈神社・春日社・天満宮社・弁財天社

右から寿社・山王社・稲荷社・竈神社・春日社・天満宮社・弁財天社
手水舎

手水舎
迂回参道

急な坂道の表参道を迂回して自動車でも上がれる迂回参道があります。

迂回参道の途中から山科市街と音羽山を望む
社務所

社務所は参道入口の鳥居の側にあります。

社務所

周辺の社寺

「山科神社」の北の「大石神社(おおいしじんじゃ)」参道入り口に、周辺の社寺の絵地図があります。


「大石神社」、「岩屋寺」については、別の投稿でご紹介させていただいています。

極楽寺(ごくらくじ)

「極楽寺(ごくらくじ)」は、本山を「知恩院(ちおいん)」とする、浄土宗寺院で、ご本尊は「阿弥陀如来」です。忠臣蔵の「大石内蔵助」が当地に隠遁していた時に、主君「浅野内匠頭」の位牌を納め、香華料として田畑を寄進したと云われています。

極楽寺

極楽寺本堂
福王寺(ふくおうじ)

「福王寺(ふくおうじ)」は、本山を「知恩院(ちおいん)」とする、浄土宗寺院で、ご本尊は「地蔵菩薩」です。この「地蔵菩薩」は、平安時代前期の公卿「小野篁(おののたかむら)」の作と云われており、忠臣蔵の「大石内蔵助」が当地に隠遁していた時の大願成就佛でした。

福王寺

福王寺本堂

「山科神社」は、西野山の山腹にあり、急坂の参道の神社ですが、歴史を感じさせる神社です。是非参詣と散策と運動をセットにしてお参りください。

アクセス
JR琵琶湖線山科駅下車 山科駅で京阪バス29C系統乗車大石神社バス停前下車徒歩5分


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