2019年8月29日木曜日

京都の蘆山寺には世界的な女流作家「紫式部」の邸宅跡がありました

京都の「蘆山寺(ろざんじ)」は京都市上京区京都御所東の寺町通り沿いにあります。

「蘆山寺」は「紫式部」が「源氏物語」などの世界的名作を執筆した地として知られています。また蘆山寺は「おみくじの創始者」として知られる「元三大師(慈恵大師良源)」によって草創されたことで知られています。

蘆山寺

 蘆山寺 由緒 


寺 号 蘆山天台講寺

宗 旨 天台圓淨宗 総本山

御本尊 阿弥陀如来

創 建 天慶元年(938年)

創 起 慈恵大師良源元三大師)

蘆山寺は、天慶元年(938年)比叡山延暦寺の中興の祖の慈恵大師良源(元三大師 後に天台宗の座主となります)が、京都市北区船岡山の南麓(現在の蘆山寺通り北)に開いた興願金剛院(よがんこんごういん)に始まります。
良願は比叡山から宮中に参内する際には、興願金剛院を宿坊としていました。良源が亡くなってからは、本光禅仙上人が船岡山の麓に興願金剛院を再興しました。

寛元3年(1245年)法然上人に帰依した住心房覚瑜(じゅうしんぼうかくゆ)が出雲路(京都市左京区)に蘆山寺を開きました。後にこの二ケ寺を兼務した蘆山寺第三世明導照源(みょうどうしょうげん)上人(1339年~1368年)によって、蘆山寺を興願金剛院に統合し、円、浄土、戒、密の四宗兼学寺院になりました。このとき寺号は興願を
廃止して、蘆山寺とし天台宗の道場として、天台宗の別院となりました。

その後、応仁の乱(1467年)で焼失し、また永禄12年(1569年)にも類焼しましたが、天正元年(1572年)に豊臣秀吉の寺町建設によって現在の地に移転再興しました。その後も宝永の大火(1708年)、天明の大火(1788年)で同舎が焼失しましたが、代々の天皇の帰依が深かったため、寛永6年(1794年)に御所の禁裏、仙洞、女院を下賜され再建されたのが現在の本堂です。

大師堂

大師堂

手水舎

本堂入口

大師堂から本堂方面

 紫式部の邸跡 


紫式部は「源氏物語」や「紫式部日記」の作者で、世界的な女流作家としてユネスコの「世界の五大偉人」に登録されています。

紫式部

当地と紫式部の関係は、紫式部の曾祖父で三十六歌仙の一人でもある権中納言藤原兼輔(877年~933年)が、この地に邸宅を構えたのが始まりでした。父藤原為時が家督を継ぎましたので、この邸宅で紫式部は育ち、結婚生活を送り、一人娘の賢子を産み育て、そして偉大な作家として執筆にいそしんだのです。
(昭和40年に歴史学者角田文衛博士によって、この地全域が紫式部の邸宅跡であると考証発表されました。)

境内の本堂庭園は「源氏庭」と称し、白砂と苔に秋になると紫の花を咲かせる桔梗を配して、庭園美を醸し出しています。

源氏庭(季節柄桔梗は咲いていません)

境内には「紫式部」の歌碑があります。
「めぐりあいて見しや それともわかぬ間に 雲がくれにし 夜半の月かな」

「紫式部」の歌碑

蘆山寺の楼門には「源氏物語 執筆地 紫式部 邸宅址」の看板が掲げられています。

蘆山寺の楼門

 慈恵大師良源(元三大師) 


良源は、現在の滋賀県長浜市虎姫町で生まれました。良源が生まれた地には現在「玉泉寺」があり「元三大師」を祀っています。良源は12才で仏門に入り、修行を重ね、55才で第十八代世天台座主となり、叡山の諸堂を復興し、山侶2700人におよび、中興の祖と号せられました。その後僧正となり、つづいて行基以来の大僧正に任ぜられ、名声が高く当時並ぶ者がなかったといわれています。

後世「元三大師」という俗称が一般的ですが、「摩滅大師(豆大師)」、「角大師」、「鬼大師」としても知られています。

 元三大師と鬼 


「元三大師」は疫病にかかったとき、高熱を出して苦しみました。疫病を体感した元三大師は「鬼の形相」で疫病を人々から救うため祈りました。このときの鬼の形相とあばら骨が浮き出た姿を写し取ったのが「角大師」です。
この少しユーモラスな「角大師」の姿は、「元三大師」を祀る寺院でそれぞれにカスタマイズして鬼のシンボルとしています。大阪の四天王寺にも独特な「角大師」があります。

「角大師」のお札は、家の玄関の戸口に貼り、厄除け・防災のお守りとしてお祀りします。京都では祇園祭のちまきとこの「角大師」のお札をセットとしてお祀りされているご家庭が未だ多いようです。

元三大師と鬼(角大師)


 元三大師は「おみくじの創始者」 




おみくじは、別名を「百籤の法(びゃくせんのほう)」といい、元三大師が人々の安穏と繁栄をまもるために、易学を基礎にして誰にでもわかりやすくつくられたものです。



 大師堂内

大師堂内の「みざる きかざる いわざる」の欄間

 蘆山寺と洛陽三十三所観音巡礼、京都七福神 


蘆山寺には木造如意輪観音半跏像(現在は京都国立博物館に寄託)があり、洛陽三十三所観音巡りの三十二所目となっています。

大師堂内には、元三大師像を中心として、左右に不動明王、金山毘沙門天、薬師如来像を安置しています。毘沙門天は聖徳太子作と伝えられています。


お祭り

2月3日 節分会 鬼おどり


拝観時間・拝観料

本堂および源氏庭以外 無料
本堂および源氏庭 9時~16時 大人500円、小中学生400円


アクセス
京都市バス・京都バス 京都府立医大病院前下車 徒歩3分
京阪電車京都線 出町柳駅下車 今出川通を西へ寺町通りを南へ徒歩10分




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