2019年5月24日金曜日

【裁判傍聴記】損害保険会社の調査部門をなめんなよ

大手損害保険会社の自動車保険の代理店を営む被告人は、保険代理を行っている車の物損事故対応を行った際に、レッカー搬送を行っていないにも関わらず保険会社に対し虚偽の申請を行い、レッカー車代と納車搬送費を詐取しました。
また、被告人は同様に保険代理を行っている車の事故対応の際に、存在しないレンタカーの車検証を偽造して、あたかも代車として貸し出したかのように、偽造した車検証を添付して保険会社に対しレンタカー費の申請を行い、代車費用を詐取しました。


罪 状 詐欺、有印公文書偽造、同行使
被告人 30代後半 男性
求 刑 今後追起訴があります。


 事件の概要 

平成30年12月下旬付け起訴状

被告人は平成30年△月、自身が営む大手損害保険会社の代理店が、保険代理を行っている顧客の車の物損事故対応を行いました。この際、被告人は事故車両が自走できる状態であったにも関わらず、共犯者と共謀し事故現場からレッカー車で搬送したことにし、また修理完了車を納車搬送していないに関わらず納車搬送したとして、保険会社に虚偽の申請を行い、「レッカー車代」「納車搬送費」に係る保険金を請求し詐取したものです。
同様の手口で複数回犯行しており、被害金額は約25万円に上ります。
罪名は詐欺罪です。

同時に被告人は、これらの事故の際に自身が経営する自動車販売店がレンタカーを代車として貸し出したことを偽装するため、あたかもその車が存在するかのごとく車検証を偽造しました。
偽造の手口は、既存の車検証のコピーに他の車両の車検証のコピーから切り取った陸運局の印影、日付その他を貼り付け、さらにコピーして作成したものです。
被告人は、この偽造した車検証のコピーをFAXで送付・添付したうえ、保険会社に代車としてレンタカーを貸し出したとして「レンタカー費」を申請・請求して保険金を詐取したものです。
同様の手口で複数回犯行しており、被害金額は約21万円に上ります。
罪名は、有印公文書偽造ならびに同行使です。

被告人は、同様の事件で、平成30年12月上旬に起訴されており、この際の罪状認否で公訴事実について認めるものの、共犯者に頼まれてやったと自身は主犯格ではないと供述しています。

なお、検察側は平成30年12月上旬の事件、12月下旬の事件とは別に後3件追起訴があり準備中としています。

本日の公判では、平成30年12月下旬付けの起訴状についてのみ審理されます。


 罪状認否 

被告人 公訴事実を認めます。

弁護人 被告人と同意見です。


 冒頭陳述・検察側証拠申請 

検察官は、事件の概要に記載した内容の公訴事実について、冒頭陳述を行い、弁護側が検察側が申請した証拠について、全て同意したため検察側の証拠調べを行いました。


 検察側証拠調べ 

検察側が提出した以下の証拠の証拠調べを行いました。

・保険会社からの被害届
・保険会社がFAXで受信したレンタカーの偽造車検証
・「レッカー車代」と「納車搬送費」を詐取すべく保険会社にFAXで送付した申請書
・「レンタカー費」を詐取すべく保険会社にFAXで送付した申請書
・被告人のパソコン内に保存されていた、共犯者と取り分を調整したデータ
・被告人の検察庁での供述「法人契約車両を対象に詐取した。」「車検証偽造の件は共犯者には話していない。」
 

後3件の同種事件の追起訴が判明しているため、本日の審理はここまでとして、検察側の追起訴が可能な日時を確認して、次回期日を調整して、本日は閉廷となりました。


 裁判の向う側 

今回の事件は、保険会社の損害調査部門が独自に調査して「虚偽の申請」「車検証の偽造」を発見して、警察に被害届をだしたものと思われます。

被告人は、損保会社の代理店をしているにも関わらず、保険会社の調査部門を舐めていたんでしょうね。あまりに手口が稚拙ですね。相手は調査のプロですよ。

被告人は、今回の件で信用を全てなくしましたので、全ての保険会社の代理店から契約解除されるでしょうし、今後新規の契約も無理でしょう。

事業の運営資金と比較して、詐取した金額は些細な金額だと思います。些細なつまらないことで全てを無くした被告人は猛省してもらいたいと思います。

せっかく事業を経営できる才覚も持っているのですから、今後はまっとうな生き方をしてもらいたいと思います。

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