2020年5月11日月曜日

大津市仰木の「小椋神社」は天智天皇の従者「加太夫仙人」が創祀しました

滋賀県大津市仰木は、琵琶湖から比叡山に向かう琵琶湖西岸の丘陵地帯に広がる農村地域で、裾野にはUR都市機構が開発した住宅地「レークピア大津・仰木の里」があります。「小椋神社」は仰木の地の農村地帯の中にあって、比叡山延暦寺へ向かう奥比叡ドライブウェーの入り口付近にある、古い歴史を持った格式の高い神社です。

小椋神社 一之鳥居
小椋神社(おぐらじんじゃ)御由緒 

名 称
小椋神社(おぐらじんじゃ)

御祭神 
闇淤加美神(くらおかみのかみ・闇龗神) 
猿田彦神(さるたひこのかみ)

創 建
天智天皇6年(667年) 小椋神社 創祀
天安2年(858年) 大宮神社 創祀
貞観元年(859年) 小椋神社 当地へ遷座

御神紋
左三ツ巴

社格等
式内社・旧県社

境内社
・大宮神社 御祭神:伊弉那美神(いざなみのかみ)
・若宮神社 御祭神:雅日女神(わかひるめのかみ)
・新宮神社 御祭神:少彦名神(すくなひこなのかみ)
・今宮神社 御祭神:大穴持神(おおなむぢのかみ)
・春日神社
・菅原神社
・祓戸神社
・多賀神社
・塚本神社
・仰霊社
・人力稲荷神社
・神明神社
・子安神社
・瀧宮神社

例大祭
仰木泥田祭 (5月3日)

別 名
五社大権現(大明神)・田所神社(たどころじんじゃ)

ご利益
・小椋神社 祈雨・止雨・灌漑
・大宮神社 夫婦円満・子宝 
・若宮神社 殖産・家内安全
・新宮神社 無病息災
・今宮神社 縁結び

所在地
滋賀県大津市仰木4-38-55

趣のある参道
飛鳥時代の天智天皇6年(667年)、中大兄皇子(天智天皇)が大津市錦織の地に「近江大津京」を開いて遷都した際に、「加太夫(嘉太夫)仙人(かたゆうせんにん)」という行者が随従してきました。加太夫仙人は「小椋神社」の奥の仰木峠の麓に社を造営して、大和国の葛城山(現在の東吉野村)に鎮座していた「丹生川上神社(にうかわかみじんじゃ)」から「闇淤加美神(くらおかみのかみ)」を分霊して勧請してお祀りしました。これが「小椋神社(おぐらじんじゃ)」の創祀だと云われています。加太夫仙人は、天智天皇が崩御後も当地に残り仰木の里に住んで、社を守ったということです。

平安時代初期の天安2年(858年)、第55代文徳天皇の皇子「惟喬親王(これたかしんのう)」が当地に「大宮神社」を創祀しました。

平安時代初期の貞観元年(859年)、伊香立の地に荘園を開いていた「源融(みなもとのとおる・源氏物語の光源氏の実在モデル)」が、滝壺の社の「闇淤加美神」を現在の社地に遷座し「小椋神社」として創建しました。これによって仰木の里は開け、農業も盛んになったということです。なお、滝壺に鎮座していた社は、現在も元の地に「滝壺神社(たきつぼじんじゃ)」として鎮座し、「小椋神社」の奥宮として祀られています。

小椋神社
その後、平安時代前期の延喜2年(902年)、第60代醍醐天皇の御代に「小椋神社」の神告により、「若宮神社」が祀られました。

平安時代前期の延喜8年(908年)、延喜式が制定され、「小椋神社」は「式内社」に列せられました。

鎌倉時代初期、後鳥羽天皇の御代の建久元年(1190年)、境内の奥のやや高いところに日吉神社の摂社「十禅師明神」と「石居明神」とを祀り、前者を「新宮神社」、後者を「今宮神社」と称しました。

「小椋神社」、「大宮神社」、「若宮神社」、「新宮神社」、「今宮神社」を総称して、中世には「五社大権現(大明神)」とも呼ばれ、人々の崇敬を集めました。

「小椋神社」はこれより以降は「田所神社(たどころじんじゃ)」と称し、産土神として、益々人々の崇敬を集めました。

本殿 拝所
本殿は、一間社流造で間口1間、奥行5尺です。

中央「小椋神社本殿」左「菅原神社」右「春日神社」 
大宮神社
若宮神社
左「今宮神社」右「新宮神社」
本殿前の「五社大権現」の碑
仰木の地は、江戸時代初期の慶安2年(1649年)、第108代後水尾天皇の第5皇女「賀子内親王(よしこないしんのう)」の領地となり、皇女は「小椋神社」を篤く信仰し、一之鳥居と石橋等を寄進しました。

初代「一之鳥居」
石橋
「小椋神社」の社名は「田所神社」となっていましたが、昭和20年(1945年)現在の社名「小椋神社」に戻されました。

境内には、一之鳥居に掲げられていた旧社名「田所神社」の扁額が飾られています。

「田所神社」の扁額

拝殿

拝殿は、入母屋造、間口3間、奥行3間3尺です。

大杉と拝殿
拝殿
境内摂社末社他

祓戸神社

祓戸神社
多賀神社・塚本神社

左「塚本神社」右「多賀神社」

仰霊社


仰霊社
神力稲荷神社

神力稲荷神社
神明神社(天照大神、豊受大神)

神明神社
地蔵菩薩

地蔵菩薩
神輿庫

神輿庫
手水舎

手水舎

仰木泥田祭

毎年5月3日に催される例大祭「仰木祭」は別名「仰木泥田祭」とも呼ばれ、平安時代後期に仰木の地に移り、約10年間住んだ清和源氏の二代目「源満仲(みなもとのみつなか)」を偲ぶ古式行事が行われ、流鏑馬や五社の神輿の巡幸が行われます。


矢巻きのおみくじ

「おみくじ」は流鏑馬の矢にちなんで矢に巻き付けて、境内の縄に結びます。

矢巻きのおみくじ

境内案内図

境内案内図
「小椋神社」は、歴史と由緒ある格式高い神社で、境内も大変に趣のある神社です。桜の季節に訪れるのもいいですかね。できれば奥宮の「滝壺神社」にも参拝したいものです。


アクセス
JR湖西線堅田駅下車 江若交通バス上仰木行乗車 辻バス停下車徒歩約4分
JR湖西線雄琴温泉駅下車 徒歩にて約35分

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