2020年2月22日土曜日

「しがの農林水産業で働く就業相談フェア」 いま農業が熱い

2月16日に滋賀県の「公益社団法人滋賀県農林漁業担い手育成基金」などが主催する、「しがの農林水産業で働く就業相談フェア」に参加してきました。滋賀県内で農林水産業の仕事を目指している20代の若者や、次の仕事を農林水産業でと考えている人達が多く参加して、会場は農業や林業・水産業に興味を抱く人たちの熱気に溢れていました。



「しがの農林水産業で働く就業相談フェア」は、滋賀県で農林水産業を仕事にすることに興味を持つ人を対象に、地方自治体や県内の農林業法人などが必要な情報を提供して、少しでも多くの人に農林水産業の魅力を感じてもらうことを目的に開催しています。

このフェアの主催は、「公益社団法人滋賀県農林漁業担い手育成基金」と「一般社団法人滋賀県農業会議」で、「滋賀県」が共催しています。

フェアは第一部はセミナー、第二部は各ブースに分かれての農業法人等の就業相談でした。
フェアの参加者は、70名から80名程度で、年齢層は20代から30代の方が最も多く、60代以上の方も数名、夫婦での参加も数組、女性も見たところ3割程度参加されていました。

第一部セミナー

就農基礎知識セミナー

●最初に滋賀県庁の担当者が、滋賀県下での就農の状況就農を希望する場合のステップ滋賀県での支援体制について説明されました。

・ここでは、滋賀県で新規に就農する人が毎年約100名おられ、そのうち30代以下が約7割をしめていることが語られました。この方たちは家業を継いで農業をするということでなく、自ら職業として農業を選んだということでした。

昔3Kの代表格だった農業(百姓)に興味と感心を持つ若者が増えていること、更に現実に毎年多くの若者が新たに農業に就業しているということは驚きでした。

私の両親は小規模ながら米作りをしており、子供の頃にはその手伝いもしていましたので、農業の大変さや泥まみれになる辛さ、力仕事のきつさを知っており、その反面で秋には米を収穫できる喜びも知っているので、職業として農業を選ぶ若者が増えているという現実は素晴らしいと感じました。

・次に、就農する場合の推奨ステップについて説明を受けました。

【情報収集】
今回のようなセミナーで情報を集めたり、「滋賀県農林漁業担い手育成基金」などで就農相談に行くこと。

【農業体験】
集めた情報をベースに、農業が自分に合っているのか農業体験などを通して考えます。
農業体験一つ目は、農業インターンシップです。(公財)日本農業法人協会が実施するインターンシップ制度を利用して、全国に約450ある農業法人で就業体験をします。期間は2日から6週間以内、費用は参加費無料、受けてれ先までの交通費は自己負担、食費・宿泊費は受け入れ先負担(事業主宅や社宅)となっています。

農業体験二つ目は、農業体験事業です。県内の指導農業士等の農場で、短期間の農業体験を行い、農業を肌で感じます。期間は1回あたり1~2日で年間2回まで、参加費は無料、体験先までの交通費は自己負担、農業体験に必要となる食費等は体験先負担となっています。

農業体験三つ目は、女性のための農業体験事業です。県内の女性農業者の指導で農業体験を行い、農業を肌で感じます。期間は1回あたり1~2日で年間2回まで、参加費は無料、体験先までの交通費は自己負担、農業体験に必要となる食費等は体験先負担となっています。

農業体験も割と気軽に参加できる環境ができていると感じました。私も農業体験に参加させていただきたいと思っています。

【農業研修】
一つ目は、先進農家や農業法人等で、研修を受ける。具体的には受け入れ先と要相談でしょうね。

二つ目は、滋賀県立農業大学校で学ぶ。滋賀県立農業大学校は近江八幡市にあり、修業年限1年で野菜・果樹・花きの3コースがある就農科と、修業年限2年の作物・茶・野菜・花き・果樹・畜産の各コースがある養成科があります。

【本格的準備】
以上のようなステップの後、農業法人に従業員として就職する就職就農と、自身で農業を起業するか、あるいは親等の農業を継いで一緒に農業を行う自営就農の道を選択していきます。もちろん就職就農の後に自営就農の道に向かう道もあります。

・最後に、就農支援制度について説明を受けました。

これは、農業次世代人材投資事業無利子融資の青年等就農資金が準備されています。

さすが、江州米の産地「滋賀県」です。農業振興、農業の担い手確保に手厚く施策を展開しているなと感じました。

魅力発見ミニセミナー

●セミナーでは次に、滋賀県で新規に就農している方2人から体験談を聞きました。

【Aさん農業法人F勤務】
Aさんは32歳、従業員14名の米・麦・キャベツ・果樹を栽培するF農業法人で正社員として働いています。大学卒業後4年間勤めた食品会社の営業職に疑問を感じて退職し、F農業法人に就職したということです。F農業法人は彦根市内の広大な農地で圃場の大区画化や無農薬栽培、キャベツの大規模栽培に取り組んでいます。
Aさんは1年を通して米作とキャベツ栽培に他の仲間とともに取り組むとともに、前職の経験を活かして販売先への営業活動も行っているそうです。
F農業法人では、農地を連結して圃場を大区画して、機械による集約農業に取り組むとともに、無人トラクターの開発や、ドローンによる作付けなどの先駆的な農業にも取り組んでおられるそうで、このことも仕事のやりがいに繋がっていると語っていました。
何より、仕事の楽しさを熱心に伝えようとしている姿が印象的でした。

【Bさん農業法人N勤務】
Bさんはご主人と2人の子供の4人家族のお母さん、従業員3人のN農業法人で1年前から正社員として働いています。前職は看護師だそうで、1年前に看護師を退職した際には周りの多くの人から「何故農業へ?」と聞かれたそうです。そりゃそうですね、看護師の安定した仕事から、天気や周りの状況に常に左右される農業へ転職するのですから。ところが当の本人は、転職してから日々の仕事は毎日が新鮮で楽しく、給与面でも前職よりもよいと話していました。
現在は農業機械を運転するための免許も取得して、次のステップに向けて前向きに取り組んでいると話されていました。また、今の仕事はこれまでの農業につきまとう劣悪な環境や力仕事というイメージではなく、女性でも問題なく取り組める仕事になっているとも語っていました。

ブース出展者(農業法人等)の自社紹介

就農相談ブースに出展されている県下の10の農業法人と、守山メロンの栽培が盛んな守山市から自社の紹介がありました。

小規模法人から中規模法人まで、また歴史の浅い法人から歴史があり実績のある法人までさまざまでしたが、みなさん農業に対する熱い気持ちを語っておられました。

滋賀県は、近畿地方の中では比較的広大な農地を有しています。昔から江州平野で採れる江州米も有名ですので、農業への取り組みも先進的なのかも知れません。
農業法人の方の説明では、離農した農家から農地を譲り受けて連結し、大区画して農業を大規模機械化・効率化する取り組みも説明されていました。また、複数の農業法人で先駆的な農業への取り組みも説明されていました。

第二部各ブースに分かれての農業法人等の就業相談

滋賀県内の10の農業法人と、守山市、東近江市から仕事内容等について個別ブースで話を聞けます。

また、就農相談、林業、水産業の相談ブースも設けられ、独立して就農を希望する方たちも相談できます。さらに日本政策金融公庫のブースも設けられ、資金面での支援に対する相談もできます。

各ブースに分かれての農業法人等の就業相談

私は今回初めてこのフェアに参加しました。定年後の生き方の一つの選択肢として、農業もあるかなと考えていましたので参加しましたが、参加している方たちの熱気が伝わってきて軽い気持ちではいけないなと身の引き締まる思いでした。

日本の農業の未来も捨てたものではないと、改めて感じたものでした。

会場となった滋賀県農業教育情報センター

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