2019年9月18日水曜日

超高齢化社会 65歳以上人口3588万人28.4%過去最高

政府は令和元年の「敬老の日」に合わせて、65歳以上の高齢者の人口推計を発表しました。この推計によると、総人口は1億2617万人となり、65歳以上の人口は3588万人となり総人口に占める割合は28.4%で過去最高となり、日本は超高齢化社会に突入しています。
65歳以上の高齢化率は世界の201の国と地域の中で断トツで第一位となっています。

「高齢者」の画像検索結果
資料写真(Pixaday)

総務省統計局では、9月16日の敬老の日に合わせて我が国の65歳以上の高齢者の人口と就業の状況についての推計をとりまとめ発表しました。(高齢者の定義に明確なものはありませんが、今回の総務省の統計では65歳以上を高齢者としています。)

2019年9月15日現在での推計
◎日本の総人口 
1億2617万人(対前年▲26万人)

◎高齢者の人口 
65歳以上 3588万人(対総人口比28.4%・対前年+32万人)
70歳以上 2715万人(対総人口比21.5%・対前年+98万人)
75歳以上 1848万人(対総人口比14.7%・対前年+53万人)

◎今後の高齢者人口の推移
2025年 
総人口1億2254万人 65歳以上3677万人(対総人口比30.0%)
2030年 
総人口1億1913万人 65歳以上3716万人(対総人口比31.2%)
2035年 
総人口1億1522万人 65歳以上3782万人(対総人口比32.8%)

15年後には、総人口が現在の91%に減少するのに対し、ほぼ3人に1人が65歳以上の高齢者になるということになります。

◎世界の高齢者人口の割合
2019年の高齢者の総人口に占める割合は、日本が断トツでトップです。
1位 日本     28.4%
2位 イタリア   23.0%
3位 ポルトガル  22.4%
4位 フィンランド 22.1%
5位 ギリシャ   21.9%

この状況で推移すると、医療費の公費負担は逼迫し、いずれ破綻することも考えられ、また公的年金も現在でも財政が厳しいなか、70歳以上からの給付ということも高い確度で現実味を帯びてきているでしょう。このままでは、貯蓄が2000万円に達していない高齢者の生活の維持は困難となり、働き続けるのか、生活保護を受給するのかという選択になるのでしょう。

そこで、総務省の統計では高齢者の就業についても推計しています

◎高齢者の就業状況(2018年統計)
2018年の高齢者の就業者数は、2004年以降15年連続で対前年で増加して、過去最多の825万人になっています。

15歳以上の就業者数に占める高齢就業者の割合は12.9%と、過去最高となっています。高齢就業者の数を業種別で見ると、最も多いのが「卸売業・小売業」次いで「農業・林業」その次が「サービス業」の順となっており、人手不足となっている業種に高齢者が多く働いていることが分かります。逆にいえば、「農業・林業」は別として、高齢者は人手不足となっている業種に求人が集中しているであろうことが分かります。

◎高齢雇用者の4人に3人は非正規の職員・従業員
高齢就業者は役員を除く雇用者が469万人で高齢就業者の54.9%、その他は自営業・会社役員385万人で45.1%となっています。更に雇用者469万人のうち358万人(76.3%)が非正規雇用となっており、そのうちパート・アルバイトの割合は52.5%
と最も高くなっています。

非正規の高齢雇用者が非正規で働く理由を聞いたアンケートでは、「自分の都合の良い時間に働きたい」「専門的な技能を活かせる」などの割合が多いようですが、実際にハローワークで求職活動をしてきた経験から言いますと、高齢者の求人は「フルタイムで働いても給料に上限がありフルタイムで働く意味がない。」ということも言えると思います。つまり正規雇用でフルタイムで働いても、月給15~16万円という求人が大半だということです。ということであれば、週に3日か4日働いて見合った金額を受け取る方が納得できるということでしょう。

◎日本の高齢者の就業率は、主要国の中で韓国に次いで第2位
高齢者の就業率は、韓国が31.3%で第1位、日本が24.3%で第2位、次いでアメリカが18.9%で第3位となっており、各国とも数字は前年に比べると高くなっています。

各国とも生きがいのために働くというよりも、生活の糧を得るために働くという傾向が強くなっているのではないでしょうか。

「高齢者」の画像検索結果
資料写真(Pixaday)

こんななか、読売新聞は社説のなかで「敬老の日」にちなんで、「高齢者と交流の機会を持とう」と題した社説を掲載していました。若者や子育て世代が、親とは異なる高齢者と交流を持つことで新たな価値観や考え方を学び、高齢者は交流を持てた若者や子育て世代
にある意味で頼れる・生活に張りが出るということで、一石二鳥のプラス面があるという話でした。

この社説もなるほどと感じるものはありますが、読売新聞は同日の別の面で「安心の設計」というコーナーの「身寄りなき高齢者」・・・保証人なく入院「拒否」も と題して一人暮らしの高齢者が抱える身元保証人がないがために病気になっても入院すら出来ないという現実も報道しています。

私は、刑事裁判を傍聴する中で、高齢者が生活保護に頼らざるを得ない状況や、やむなく万引きに手を染めてしまう現実、結局刑務所を出たり入ったりする人達の現実を証言として聞きました。また、高齢者を狙う詐欺の手口を聞き、「切れ老人」の実態も見ました。

高齢者が増えた、「日本はご長寿大国」などと浮かれている暇はありません。待ったなしの状況があります。政府や地方自治体はもちろんですが、高齢者自身もそしてこれから高齢者に突入する世代もこの問題をしっかりととらえて、それぞれが考えていきたいものです。

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