2019年5月21日火曜日

【裁判傍聴記】私、刑務所に入れられるの?

被告人は1万円分の商品を店員の目を盗んで紙袋に隠匿して万引きしました。判決は「懲役10月 内4月を2年間猶予し保護観察とする。」と言い渡されましたが、被告人は執行猶予付きの判決が出るものと思っていたようで、判決の言い渡しを受けても自分が懲役刑の実刑を受けたことに気付いていませんでした。



罪 状 窃盗 
被告人 70代前半 女性
判 決 懲役10月 
内4月を2年間猶予し、保護観察とする。
訴訟費用は被告人に負担させないものとする。


 判 決 

主 文

懲役10月 内4月を2年間猶予し保護観察とする。

理 由

犯罪事実は起訴状の事実を認定した。
万引き1件、1万円分の商品を店員の目を盗んで、紙袋に隠匿しており、手慣れた手つきでの犯行である。

平成30年4月にも万引きで検挙され、執行猶予付きの判決を受けている。

解離性障害の治療を受けているというが、犯行は店員に気付かれないように、わざと店員と話をして店員の注意をそらしたうえ、商品をまとめるなどしており、また万引きした商品のタグを外したうえ、車に積み込んで、再度店に戻るなど手慣れた犯行である。

精神傷害について治療中であることは考慮できず、実刑が相当であると思料するが、被害金額を弁償して、反省もし、また家族が再犯防止に向けて指導・監督して援助すると約束していること、解離性障害の治療に努めることを情状として考慮し、刑の一部を猶予することとした。


 裁判の向う側 

被告人が判決言い渡しを受けるために入廷してきた服装は、上下黒のスーツにグレイのコート、黒の革靴、フォーマルなバックを手にしていましたので、判決を聞くときは神妙な格好をしようということで、恐らく執行猶予付きの判決が出るものと思っていたのでしょう。

開廷後に、傍聴人席の後方に首から名札を下げた、男性と女性の2名が着席しましたので
何かあるなと思っていたのですが、後で分かりました。実は滋賀刑務所の刑務官でした。

判決の言い渡しがあり、一部4ケ月の執行猶予が付いていたものの、6ケ月の実刑判決でした。被告人は、最後までこのことが分からなかったようです。

判決の言い渡しが終わると、傍聴人席の刑務官2名は法廷内に入り、被告人を刑務所へ収監するための手続きを行いました。被告人は、何が起こっているのか最初理解できなかったようで驚いた表情をしていましたが、刑務官から説明を受けようやく理解できたようです。実刑で刑務所で服役しなければならなかったのです。しかし最後にはおとなしく刑務官に従い引致されていきました。

実刑判決の場合、刑務所に収監される際には、持ち込む物品の検査がありますので事前に通知されるケースが多かったですが、本件は違ったのでしょうか。

高齢の身に、刑務所生活はつらいと思います。今度出所してからは、二度と犯罪を犯さないように、穏やかな余生を暮してください。

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