2019年10月6日日曜日

滋賀県大津市小野の「上品寺」は「小野篁」が開基です

「上品寺(じようぼんじ)は、平安時代のエリート貴族で、神通力を駆使して昼間は朝廷勤め、夜には冥府で閻魔大王の裁判の補助をしていたと云われている「小野篁(たかむら)が開基となって創建しました。


上品寺(じょうぼんじ)由緒 


寺 号 小野山(おのざん)上品寺(じょうぼんじ) 

宗 旨 天台宗真盛宗

御本尊 阿弥陀如来

創 建 承和14年(847年)

開 基 小野篁(たかむら)

所在地 滋賀県大津市小野2044

「上品寺」は、滋賀県大津市小野の和邇川のほとりで、「小野神社」の参道入口に建っています。

「上品寺」は、大津市坂本にある「西教寺」を総本山とする「天台真盛宗」の寺院です。承和14年(847年)に「小野篁」が創建したと伝えられています。

「小野篁(802年~853年)」は、平安初期の公卿・文人で、参議「小野岑守」の長男です。朝廷での最終位は従三位・参議でした。「篁」は飛鳥時代から権勢を誇っていた和爾氏の支流の小野氏の系統で、祖先には「小野妹子」「小野毛人」が、甥に「小野道風」が、孫に「小野小町」がいます。小野氏は、滋賀郡小野村周辺(現在の滋賀県大津市の小野地域)を本拠地として、山城国愛宕郡小野郷(現在の京都市左京区)も支配下にあったとされています。

普段は拝観できませんが、本尊の「木造阿弥陀三尊立像」の中尊は、13世紀末頃の作で来迎印を結んでいます。両脇侍はもともと一体ではなかったのですが、「菩薩像」が三尊として安置されました。左脇侍は12世紀末頃で慶派の作とされ、右脇侍は13世紀前半の作とされます。他に鎌倉時代の「地蔵菩薩立像」も安置されています。

本堂は、16世紀後期に再建され、平成9年(1997年)に改築されました。

本堂
本堂の前の庭に、砂を円錐形に盛った「立砂」が、左右に一対で作られています。「立砂」は神社などで神が降臨する場所として設けられるものです。神仏習合の名残でしょうか。

写真右下部に見えるのが「立砂」
本堂の「小野山」の扁額
表門は17世紀中期の建築で、鐘楼は安永7年(1778年)に建立されました。

表門
鐘楼
本堂前の土塀の前に、石でできた梵鐘がありました。戦時中に金属の梵鐘を供出させられた際の代用品だったのでしょうか。

中央が石の梵鐘
表門の脇に、「聖観音像」が建っています。

聖観音像
境内の右脇の墓地へ向かう途中には、「地蔵堂」「六道地蔵堂」が建っています。

地蔵堂
六地蔵堂
表門前には、本堂改築の際に撤去した飾り瓦の一部が残されて展示されています。「龍胆(りんどう)紋」と「三つ巴紋」が飾られています。


「上品寺」の南側には小野氏の始祖を祀る「小野神社」への表参道が伸びており、「上品寺」と「小野神社」の結びつきが感じられます。



アクセス
JR湖西線 和邇駅下車 徒歩15分



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