2019年5月19日日曜日

【裁判傍聴記】悪い先輩と付き合っちゃだめですよ

被告人は今年7月に大麻所持・使用の疑いで警察に逮捕されました。被告人は2年前から自宅の自室で大麻を使用していました。自室には大麻の吸引器具も見つかり警察が押収したということです。


罪 状 大麻取締法違反
被告人 21才 男性
求 刑 懲役6月
判 決 懲役6月 執行猶予3年 所持していた大麻の没収

 事件の概要 

今回も前回に続き薬物事件です。

被告人は今年7月に大麻所持・使用の疑いで警察に逮捕されました。被告人は2年前から自宅の自室で大麻を使用していました。自室には大麻の吸引器具も見つかり警察が押収したということです。最初に使用した動機は昔からの先輩に勧められ断れず使用してしまい、以後勧められるままに数回使用したとのことです。逮捕後は警察と検察の捜査の後、母親に保釈金を支払ってもらい保釈されていました。

検察の起訴状の朗読の後、裁判長により黙秘権の告知を行い、次に被告人に検察の起訴内容が事実かどうかの確認を行います。(罪状認否と言います)
被告人は「起訴状の内容に間違いありません。」、弁護士も被告人と同意見です。

このあと検察が準備した証拠調べと弁護側が準備した証人尋問と続きます。

証拠調べで分かったことは以下のとおりです。

被告人は普段は地元の工事会社でまじめに働いていたようで、保釈後もこの工事会社で働かせてもらっていたということです。このことから感じることは仕事はまじめに勤めていたのに犯罪に手を染めるということは、勿論本人の意識がしっかりしておれば犯罪を犯すこともなかったんでしょうが、付き合う仲間が悪かったのも大きな問題ですね。被告人には前歴がありました。恐喝です。(10代の頃に悪さしていたんでしょうね。)
逮捕された当時被告人は母親と祖母の3人で暮らしていました。


 弁護側情状証人尋問 

次に弁護側が準備した証人尋問です。釈放後の身元引き受けと監督ができる人間として母親が情状証人として出廷しました。

弁護人 
あなたは被告人のお母さんですね。
証 人 
そうです。

弁護人 
あなたは被告人が大麻をやっいることに気づきませんでしたか。
証 人 
気づきませんでした。

弁護人 
あなたは被告人の身元引受人として再犯しないように具体的にどうしますか。
証 人 
今までよりも会話し、今まで入らなかった部屋にも入って確認します。

(検察側反対尋問)
検察官 
大麻は使用すると独特の臭いがしますが気づきませんでしたか。
証 人 
気づきませんでした。

検察官 
今まで大麻の使用を気づかなかったのに、今後チェックできるのですか。
証 人 
今までより一層密接に会話し、身近に見ていきます。(証人涙でつまる)



 被告人質問 

(弁護側)
弁護人 
大麻が何故悪いのか理解していますか。
被告人 
やめられなくなり、しまいに身体を悪くします。

弁護人 
大麻をやめると誓えますか。
被告人 
やめると誓います。

(検察側)
検察官 
大麻をやめるために具体的にどうしますか。
被告人 
先輩とは付き合わないようにします。



 論告求刑 

検察官 求刑 懲役6月



 弁護側最終弁論 
 
公訴事実は被告人も認めているとおりであり争いません。しかし被告人は初犯であり反省もしており、更生への意欲もあり、また母親が身元引受人として監督に意思も示している。よって執行猶予付き判決を要望します。



 判 決 

今回は、初犯でもあることから、論告と判決の言い渡しを同じ日に実施することとなりました。

主 文 
被告人を懲役6月に処す。この刑の執行を3年間猶予する。被告人が所持していた大麻を没収する。

理 由
判決理由の説明のなかで裁判長はこう言いました。

・・・これからは悪い先輩と付き合っちゃだめですよ。



 裁判の向こう側 

たった1時間程度の傍聴でしたが、被告人は根はまじめなんだなと感じました。いろいろな事情があって大麻に手を染めたのだと思います。長い人生で付き合う人はよく考えてほしいと思いました。裁判長も言われたように悪い先輩とは付き合わないでください。まだ21才と若いので十分更生もできると思います。いままで苦労や迷惑をかけたお母さんを二度と泣かせないようにしっかり生きていってほしいと思いました。

それにしても、こんなに簡単に薬物が手に入る世の中ってどうなんでしょうか。

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