2019年10月14日月曜日

【裁判傍聴記】70代元教師が邸宅侵入した目的は女性用下着の撮影でした

被告人は70代後半男性で元教師でした。保釈されていた被告人は妻に付き添われて法廷に入り、そして一人で被告人席に向かいました。一見したところ厳格で頑固そうなお爺さんです。決して他人の家に入って女性用下着を撮影するような人には見えませんでした。

「携帯で撮影」の画像検索結果
資料画像(Pixabay)

罪 状 邸宅侵入(女性用下着の撮影目的)
被告人 70代後半男性
判 決 懲役1年 執行猶予3年

今回の法廷は「判決の言い渡し」のみでした。

被告人は70台後半の半白髪で厳格で頑固そうな男性でした。グレーのスーツを着て、同い年ぐらいと思われる妻と一緒に法廷に入り、妻と並んで傍聴席に座っていましたので、これから判決を言い渡される被告人の父親かと思っていました。ところが、被告人は判決の時間が近づくと弁護士に促されて法廷内の被告人席に座りました。

事件の概要 

被告人は令和元年〇月×日、住宅街の戸建て住宅の敷地内に侵入し、洗濯して干してあった女性用下着をスマーフォンで撮影しているところを家人に発見されました。家人は発見後すぐに警察に通報し、被告人は駆け付けた警察官に「邸宅侵入」の容疑で現行犯逮捕されました。

被告人は、平成30年に同様の罪状で罰金刑の判決を受け、更に平成31年にも同様の罪状で罰金刑の判決を受けていました。平成30年の裁判の際も、平成31年の裁判の際にも被告人の妻は保釈の際の身元引受人となり、裁判で弁護側の情状証人として証言台に立っていました。

被告人の「邸宅に侵入して女性用下着撮影」の犯行は、平成30年と平成31年のみでなく、発覚していない余罪が多数ありました。被告人は、今回警察でこれらの余罪も全て自供したうえで反省の弁を供述していました。

今回の事件では、被告人の弁護人は被告人に被害者に対して謝罪させたうえで、被害者との間で示談を成立させていました。

被告人は、妻の監督のもとで専門の医療機関の「性犯罪更生プログラム」を受けることを誓約していました。

被告人は、定年で退職するまで教師として教鞭をとっていました。


判決

主 文
被告人を懲役1年に処す。この刑の執行を3年間猶予する。

量刑の理由
被告人は、女性用下着を携帯電話で撮影する目的で、他人宅に侵入するという罪状で平成30年と平成31年の2回起訴された。いずれも裁判で罰金刑の判決を受けたにも関わらず、今回も被害者宅の敷地内に侵入し、洗濯物として干してあった女性用下着を撮影したものであり、被告人の規範意識は乏しいと言わざるを得ない。

しかしながら、被告人に有利に情状として、被害者との間に示談が成立していること、余罪も含め認めて反省していること、専門の医療機関の「性犯罪更生プログラム」を受けることを約束していることを考慮して、主文のとおりの判決とした。

判決の言い渡しの後で
判決の言い渡しを終えた後、裁判長は被告人を諭しました。裁判長は30代のイケメン裁判官です。子供に諭されている父親のようでした。

「あなたは元教員として長く勤めて多くの教え子を育ててきたことでしょう。この先の人生ではあなたの教え子に恥ずかしくないようにされるようお願いします。あなたにはそれができます。私はそう信じています。」


裁判の向う側

被告人は70代後半の元教師でした。

「邸宅侵入」だけでなくその目的が女性用下着の撮影という犯行は、被告人が長く勤めた教師時代の功績を台無しにしてしまうものであり、大変悲しく感じたものです。被告人の奥さんも世間に対して恥ずかしい思いをしたことでしょうし、法廷で証言席に立つなどは屈辱的な思いをされたことでしょう。

それにしても70代の高齢者が女性用下着に興味を持つということも驚きでした。

前2回の裁判では罰金刑だったということですが、今回は三度目の正直で、執行猶予は付いていますが、懲役刑の有罪判決です。しっかり反省して裁判長が諭したように「教え子に恥ずかしくないよう」な人生を過ごしてほしいと思います。

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